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【インタビュー】江嶋綾恵梨、写真展『境界線』で紡ぐ距離感の物語「ぜひ五感で味わってもらいたい」
アイドルグループ『26時のマスカレイド』のメンバーとして活動後、現在はヨガインストラクターとしても活動する江嶋綾恵梨。そんな彼女が、自身のヨガスタジオ・hurmthにて江嶋綾恵梨×前田莉瑚 写真展『境界線』を7月21日(月・祝)と22日(火)に開催する。“撮られる”側から“撮る”側へと立場を変えながら、フォトグラファーとしても数々の作品を生み出している江嶋が、今回の写真展で届けようとしていることとは? 同展への想いや、自身の変化、そして写真という表現についてたっぷりと語ってもらった。
写真が完全に“趣味を超えた存在”に
――そもそも江嶋さんがカメラに目覚めたきっかけは何だったんですか?
江嶋 もともとおじいちゃんがフィルムカメラがすごく好きで、私の小さい頃の写真は全部撮ってくれていたんです。あと、うちの家庭は写真館とかで記念写真を撮る文化があって、写真がすごく身近なものでした。ただ、自分でカメラをちゃんと触り始めたのは上京してから。知り合いのカメラマンさんからオリンパスのPENを譲っていただいて、そこからどハマりしました(笑)。
――最初はどんなものを撮っていたんですか?
江嶋 所属グループのメンバーの生誕祭グッズ用写真やオフショットなどでした。自分の周りにカメラマンのお友達が多かったので、カメラやレンズの話を聞く中でオールドレンズにもハマって……。ほかの人と同じなのが嫌なタイプなので、マニュアルフォーカスの面白さにのめり込んで、完全に沼でした(笑)。今ではオリンパス用だけでレンズが6本くらいあります。
――アイドルイベント<TOKYO IDOL FESTIVAL>の企画も転機になったとか。
江嶋 フジフィルムさんの「写ルンです」で写真を撮る企画に出させてもらって、その時は1位を取れなかったんです。それがめちゃくちゃ悔しくて(笑)。そのイベントで出会ったカメラマンの山本春花さんが、“えじの写真、好きだよ”って言ってくださって、写真集をくださったんです。それがフィルムカメラの作品集で。そこから“春花師匠”に教わるようになって、写真が完全に“趣味を超えた存在”になりました。
――よりカメラにのめり込んでいったんですね。
江嶋 そのあと『アイドルカメラ部』(現「ときどき、カメラ部。」)から声をかけていただいて、グループ展に参加させてもらったんです。自分の写真が飾られることがすごく嬉しくて、そこからSILENT SIRENのあいにゃん(山内あいな)さんとの『えじにゃん個展』に繋がっていきました。あいにゃんさんが絵を描いて、私が彼女を被写体に撮影して。テーマも設営もすべて自分たちでやって、本当に楽しかったです。
――被写体としての経験は、撮る側になった時に活きているのでしょうか?
江嶋 めちゃくちゃ活きてます。撮影の時は、モデルさんに“利き顔”を聞くようにしていますし、しゃがみが嫌とか、真横からは撮られたくないっていう子もいるので、そういうところにも気を配っています。ただ同じ角度ばかりだと単調になってしまうので、“この角度でも可愛い”って言ってもらえるような工夫もしていますね。
――現像やレタッチにもこだわっていると聞きました。
江嶋 (Adobeの)Lightroomで色をいじるのが好きで、暖色が似合う子、寒色が似合う子っていうのを見極めてから全体のトーンを決めています。あと、レンズにラップを巻いたり、ピンクの歯ブラシをフィルター代わりにしたりもします。私が撮影で使う三種の神器は、歯ブラシ、ラップ、ジップロック(笑)。
――(笑)。最近、元欅坂46の今泉佑唯さんの写真展『「幾星霜」-0|0 5th Art project-』に、フォトグラファーとして参加していました。
江嶋 飛鳥井里奈さんと2人で撮影を担当しました。みんなでロケに行って、撮りたい時に手を挙げて撮影するというスタイルで、すごく自由で面白い現場でしたね。当日は大雨だったんですけど、今泉さんがずっと笑顔で“大丈夫です!”って言ってくださって。現場の空気を常に明るくしてくれる方で、“いてくださってありがとうございます。可愛い!”って、私、もう完全にヲタクのように撮ってました(笑)。ああいう空気感の中で撮影できたのは本当に楽しかったですし、自分の表現としても刺激をもらいました。

“言わないこと”を美学にしてきた
――今回、前田莉瑚さんをモデルに迎えて写真展『境界線』を開催します。
江嶋 莉瑚ちゃんは、福岡時代に一緒のグループで活動していたんです。私が高校生、彼女が中学生の時に。上京してからも同じ最寄駅に住んでいたこともあって、毎日家を行き来したり、バイトも一緒にしたり。まさに“家族より一緒にいた”存在です。
――そんな深い関係性だからこそ、『境界線』というテーマが生まれた?
江嶋 そうですね。私は“(思っていることを)言わないこと”を美学にしてきたんです。我慢するのが優しさ、みたいな。でも、それが正しいのかはわからなくて。莉瑚ちゃんとも心の距離は近いけど、境界線って確実にあるよねって話になって。お互い義理堅いところもあるし、そういう感覚をテーマにして写真展をやってみたくなったんです。
――展示はどのような構成になっているんですか?
江嶋 サウナホテルでのシリアスなカットと、想い出の地を巡ったロケの写真を組み合わせています。冷たい印象になりすぎないように、温かい距離感も届けられるように意識しました。グッズには、一部に私の文章付きの写真もあって。美術館の音声ガイドみたいな感覚で作ったのですが、作品を自分の解釈で見たい方は写真のみを見て楽しんでいただいて、逆に私の作品に対する想いなどを知りたい方はグッズを手に入れていただければと思っています。

“頑張るために休もうね”って言えるようになった
――写真展の世界観にも、ヨガの影響はあるのでしょうか?
江嶋 めちゃくちゃあります。例えば、今までは旅行に行くにしても、写真素材を撮ることが当たり前で、完全に仕事とプライベートが一体化していたんです。でもヨガに出会って、“休むことも必要なんだ”とやっとわかるようになりました。
――アイドル時代は、力を抜くことなく全力疾走していましたよね。
江嶋 “限界突破120%!”みたいな。ただ、体調を崩したりして……ただ、当時は“80%でいい”って言われても、それは手を抜いているようにしか思えなかったんです。でも、今は違います。頑張り続けたいのなら、ちゃんと休まなきゃって。自分にも、人にも“頑張るために休もうね”って言えるようになりました。あと、今年3月に山本春花さんと一緒に開催した『ひと休み。』という写真展では、すっぴんで撮影したんです。昔だったら絶対無理だったけど、そういうところにも自分の中の変化を感じています。
――より自然体でいられるようになったんですね。今後、フォトグラファーとしてどんな活動をしていきたいですか?
江嶋 その人の記念になる瞬間を撮っていきたいです。アイドルちゃんの生誕祭だったり、マタニティフォトだったり……。最近、まわりで出産が増えているので、赤ちゃんとの写真も撮ってみたい。節目に関われるって嬉しいですし。ただ、やっぱり女の子を撮るのが好きなので(笑)、メディアさんでの撮影もしてみたいです。
――最後に、読者へメッセージをお願いします。
江嶋 今回の写真展は、私がヨガを教えている大切なスタジオで開催します。写真を観に来た人がヨガに興味を持ってくれたら嬉しいし、逆にヨガをやっている方が写真で癒されてくれても嬉しい。美術館のように、展示も文章も楽しめるように作っていますので、ぜひ五感で味わってもらいたいです。

江嶋綾恵梨×前田莉瑚 写真展『境界線』

会期:2025年7月21日(月・祝)〜22日(火)
会場:ヨガスペースhurmth(〒107-0062 東京都港区南青山4丁目17-14 VALO南青山202)
※到着されましたらインターフォンで202をお呼び出しください
江嶋綾恵梨公式Instagram
江嶋綾恵梨カメラ公式Instagram
江嶋綾恵梨公式X