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MYTH & ROID【ライブレポート】響き合う意志と音、その先にある真髄

『Re:ゼロから始める異世界生活』『オーバーロード』など、数々の人気アニメのOP・EDテーマを手がけているMYTH & ROIDが、自身最大規模となる国内ツアー『MYTH & ROID One Man Live 2025 Summer Tour “Loved all long”』のファイナル公演を、7月27日(日)にZepp Shinjuku(TOKYO)で開催した。

同公演では、ドラマティックなバンドサウンドと鋭く突き刺さる歌声、圧倒的な表現力で観客を魅了。さらに、シンガーソングライターのオーイシマサヨシがゲスト出演し、特別なパフォーマンスを届けた。

KIHOWとTom-H@ck、そして“ファン=Myrror”の想いが交錯した一夜。初のZepp単独公演は、MYTH & ROIDという存在の核心に触れる、エモーショナルな集大成となった。本記事では、その模様をお伝えする。

ステージに置かれた赤い挿花にピンスポットが照らされる。神秘的なSEが鳴り、現れるサポートバンドメンバー、そして白いテンガロンハットを被ったTom-H@ck、最後に華やかな衣装を纏ったKIHOWが中央に陣取った。ハイハットのカウントが刻まれると、KIHOWはゆっくりブレスをして悲壮的なメロディを発した。

脈々としたビートの上でもの悲しくも強いメロディがなぞられる「Cracked Black」でライブは静かに幕を開ける。

MYTH & ROIDのキャリア史上最大規模となる国内ツアー『MYTH & ROID One Man Live 2025 Summer Tour “Loved all long”』のファイナルは2025年7月27日、Zepp Shinjuku(TOKYO)にて迎えた。

“ツアーファイナル、今夜は楽しんでください!”

「Cracked Black」を歌い終えたKIHOWは、シーケンスが鳴る中でそう口にしながら、「Paradisus-Paradoxum」へ。シーケンスに絡む精確なビートと重厚なサウンドをくり出すバンドアンサンブルは刺激的でありながらも心地よい。オリエンタルでラウドなサウンドを轟かせる「theater D」、捲し立てるアッパーなリズムがビシビシと迫ってくる「STRAIGHT BET」と、『リゼロ』こと、アニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』のテーマ楽曲を次々と披露する。Tom-H@ckの奏でるヘヴィリフとシュレッドなギターソロが猛り狂い、KIHOWは台の上で揚々と美声を震わせる。ソールドアウトしたフロアいっぱいのオーディエンスはクラップと歓声で応えていく。

KIHOW『MYTH & ROID One Man Live 2025 Summer Tour “Loved all long”』(2025年7月27日/Zepp Shinjuku(TOKYO))

“MYTH & ROIDに入った時、自分の心を支えてくれた曲”とKIHOWは語り、「Tough & Alone」へ。間髪入れずにハネたリズムの「RAISON DʼETRE」が始まった。ここまで台の上でマイクスタンドを目の前に、麗しい歌声とともにディーバオーラを放っていたKIHOWはハンドマイクを片手に身を揺らしながら変幻自在の声色を届け、バンドのファンキーなグルーヴでフロアを沸かせる。Tom-H@ckはバンドを先導し、「ACHE in PULSE」の性急なリズム変化でさらに会場の熱気をぐいぐいと上げていく。

ソールドアウトできるとは思っていなかった初めてのZepp公演。会場いっぱいのオーディエンスへ礼を述べるKIHOW。アーティストとして単独でZeppに立つのは初めてだと語るTom-H@ckが“ここからの景色、最高です!”と高らかな声を上げると、会場は大きな歓声に包まれた。KIHOWはツアータイトル“Loved all long”について、“ずっと愛されてきた”という意味を込めたといい、みんなのおかげで迎えることができる10周年に対し、“ライブでみんなに感謝の気持ちを返したい”という気持ちを込めて「追想輪廻」を丁寧に届けた。そして、ピアノの美しい調べから「STYX HELIX」へと流れていく。幻想的な灯りに照らされたステージで儚さと凛とした強さ、無機質感と温かさが錯綜する幽玄な世界を創り出した。

Tom-H@ck『MYTH & ROID One Man Live 2025 Summer Tour “Loved all long”』(2025年7月27日/Zepp Shinjuku(TOKYO))

“みんなの顔がよく見える会場でリハよりもすごく声が出ていて、楽しく歌えています”

KIHOWの言葉に沸くフロア。ツアータイトルには“ずっと愛していた”という意味も込めたことを明かす。学生の頃からずっと一緒だった親友に子どもができた時、自分が見たことのない笑顔を子どもに見せていたことに衝撃を受けたという。“ずっと、愛してる人に出会う日を待っていたんじゃないかと思いました。それはMyrror(MYTH & ROIDのファン)とリンクしているところがある”と続けた。“Myrrorのことをずっと愛していたと、みんなに直接言葉でも音でも伝えかった”と語り、“誰かへの想いがひたむきに伝わる曲”と、ノーマイクのアカペラで歌い始めたのは「Stay Alive」だった。『リゼロ』エンディングテーマであり、エミリア (CV:高橋李依) によるキャラクターソングのカバーを伸びやかに優雅に聴かせた。続く「Endless Embrace」で美麗なメロを轟かせ、「HYDRA」のハイトーンがオーディエンス、Myrrorの心を揺さぶっていく。Tom-H@ckの咽び泣くギターソロからの、バンドアンサンブルのドラマティックな展開にライブの激情が大きく動かされた。

この先の海外公演やタイアップのこと、これまでのこと……KIHOWとTom-H@ckが和やかに語り始めた。ライブ経験がなかったというKIHOWは、マイクスタンドを支えにしないとステージに立てなかったことなどを明かし、2人の息の合ったトークは弾むも“みなさん、自分の会社の社長とユニットを組めますか?”と、KIHOWはTom-H@ckとの関係性を改めて強調しながら笑いを誘った。

“わざと前半部分静かな曲にしたので、後半ナメねえ方がいいぞ。俺が死ぬ。ついてきてほしい!”

Tom-H@ckがそう煽り、KIHOWが“初めてライブで歌う”と言いながら、威勢のよいビートに合わせて、ゲストのオーイシマサヨシを呼び込む。真っ赤なライトで染まるステージの中、ツインボーカルで送るのは、OxTの「Clattanoia」だ。ステージをところ狭しと暴れ、フロアを煽るフロントの3人。弾けた熱気が会場を包み込んだ。

“「アニソン界のおしゃべりクソメガネ」こと、オーイシマサヨシです!”

MYTH & ROIDのライブだからトーンを落として喋るつもりでいたが、結局通常運行のガンガントークで攻めるオーイシ。OxTも10周年、Tom-H@ckを軸にしたMYTH & ROID とOxT、2グループの関係を親戚のようだと語る。“KIHOWちゃん大きなったなぁ”とのオーイシの親戚のおじさんのような冗談混じりの本気の言葉に、KIHOWも“Myrrorとツアーを重ねて変わった自分をオーイシさんに観てほしかった”と答えた。オーイシは“Myrrorとのコミュニケーションがちゃんと取れているので密度が高い”と、今日このライブを観ていた感想を語り、MYTH & ROIDとOxTの2マンライブを開催することを発表すると、大きな拍手と歓声が沸き起こった。

オーイシマサヨシ『MYTH & ROID One Man Live 2025 Summer Tour “Loved all long”』(2025年7月27日/Zepp Shinjuku(TOKYO))

MYTH & ROID × OxT、初のコラボレーション楽曲「GREATEST GLORIA」を初めてオーイシとともにパフォーマンス。これまでのライブではKIHOWひとりで11回歌い、この日、12回目にして初めて完成した圧巻のツインボーカルで魅了する。ボルテージを一気に高めたライブは、オーイシがステージから去り、「VORACITY」からのラストスパートへ突入。妖艶な歌声と変幻自在のバンドサウンドが舞い、「Crazy Scary Holy Fantasy」、「L.L.L.」と『オーバーロード』のエッジィな楽曲を畳み掛けていく。

『MYTH & ROID One Man Live 2025 Summer Tour “Loved all long”』(2025年7月27日/Zepp Shinjuku(TOKYO))

アグレッシヴなアンサンブルは、Tom-H@ckの豪奢なヘヴィリフからインストへ。メンバーのソロ回しからのMyrrorとのコール&レスポンス。そのまま「TIT FOR TAT」へ傾れ込む。ステージもフロアもエキサイティングに揺れ動き、ダンサブルな「JINGO JUNGLE」と引き継がれていった。ラストに送られたのは「NOX LUX」だ。アグレッシヴに凛として披露する。KIHOWの翳した右手がステージ上の挿花と重なり、それはMYTH & ROIDの未来への希望を指しているようだった。

“夢のZepp、最高の景色です! 俺、出し尽くしたよ。1つの節目、大成功です! みなさんのおかげです!!”と満面の笑みを浮かべるTom-H@ck。これまで夢を持ったことがなかったというKIHOWは“ライブで観るみんなの姿が本当に輝いていて、私は羨ましくて、みんなのように輝きたいし、私がステージで輝く時にみんなにも輝いてほしい。そんな鏡のような存在でありたい”そう語り、みんなの姿からいろんなことを学ばせてもらったからこそ、Myrrorというファンネームをつけたことを明かした。

“みんなとなら、このZeppの先の景色、ぜひ夢を見たいと思っています。みんなこれからもついてきてください!”

KIHOWが高らかに声を上げると、この日1番の歓声と拍手が2人に送られた。海外公演やタイアップなど、これからもワールドワイドに活動する2人から目が離せない。

『MYTH & ROID One Man Live 2025 Summer Tour “Loved all long”』(2025年7月27日/Zepp Shinjuku(TOKYO))

取材&文:冬将軍

『MYTH & ROID One Man Live 2025 Summer Tour “Loved all long”』セットリスト
2025年7月27日(日)
Zepp Shinjuku(TOKYO)

M1 Cracked Black
M2 Paradisus-Paradoxum
M3 theater D
M4 STRAIGHT BET
MC
M5 Tough & Alone
M6 RAISON DʼETRE
M7 ACHE in PULSE
M8 追想輪廻
M9 STYX HELIX
MC
M10 Stay Alive
M11 Endless Embrace
M12 HYDRA
MC
M13 Clattanoia
MC
M14 GREATEST GLORIA
M15 VORACITY
M16 Crazy Scary Holy Fantasy
M17 L.L.L.
M18 TIT FOR TAT
M19 JINGO JUNGLE
M20 NOX LUX