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【ライブレポート】CiONが照らした、アイドルの力「あなたの明日を生きる理由になるように」
8月16日、KT Zepp Yokohama。オープニング映像が終わると同時に、観客の視線は5人組アイドルグループ・CiONに注がれた。2人のボーカリストに、アルトサックス、ユーフォニアム/バストランペット、ピアノを加えた稀有な編成。さらにドラム、ベース、ギターのサポートを従え、8人編成のバンドセットとして立ち上がったステージは、序盤からフルスロットルの演奏で観客を圧倒した。アイドルのライブでありながら、堂々としたアンサンブルは純度の高い音楽体験を思わせた。

ライブの中盤では空気が一変。ジャズやR&Bの薫りをまとった洒脱な響きが広がり、会場は豊かな色合いに包まれた。熱量と洗練のコントラストこそ、CiONを端的に語る要素と言える。
彼女たちの音楽は、既存のジャンルに収まらない。ロックの剛健さ、ポップスの開放感、ジャズの粋な響き、R&Bの濃やかな色気。それらを自在に行き来しながらも、アイドルであることを核に据え続ける。その誇り高さが、CiONを特別な存在にしている。

愛佳の歌声は観客の感情を鋭く震わせ、栞音のボーカルは妖艶さから透明感まで自在に表情を変える。聖奈のユーフォニアム/バストランペットは低音の厚みで楽曲の奥行きを広げ、佳子のアルトサックスは情緒豊かな旋律で空気を染め上げる。杏実は流麗なピアノを奏でながらショルダーキーボードでステージを駆け、その躍動感で音楽に身体性を加えていく。5人の個性が重なり合うパフォーマンスは、言葉を超えた説得力を放っていた。

この夜のステージには、観客を驚かせる仕掛けも多かった。「Addiction」での栞音と愛佳の2階席からのサプライズ登場は、数ある演出の中でもとりわけ印象的な一幕だった。終盤には「しましょ」「サマラブイリュージョン2024」「Now or Never」「Noisy」と畳みかけ、新曲「Shout of Joy」で熱狂は最高潮に達した。

最後を飾ったのは、SPYAIR・UZが手がけた「Life is Beautiful」。観客のシンガロングが会場全体に広がり、幸福感が渦のように立ち上がる。その直前、愛佳はこう語った。
“CiONが、あなたの明日を生きる理由になるように”
その言葉は、この夜の熱狂を締めくくるだけではなく、彼女たちがアイドルとして掲げる姿勢そのものを示していた。アイドルは、思いどおりにいかない日常を生きる人に寄り添い、時にその背中を押す存在である。CiONは音楽を突き詰めながらも、アイドルであることに誇りを持ち続け、その力を信じている。だからこそ彼女たちの歌や演奏は、単なるパフォーマンスを超え、観る者の生きる理由へと結びついていくのだ。この夜のステージは、その意義を鮮やかに照らし出していた。

『CiON “are you ready?”』セットリスト
M1 MAHORAMA
M2 S;ckkkkk
M3 INVADER
M4 It’s Wonderland
M5 Bambina!!
M6 ⽉逢夜
M7 MagiC!on…
M8 Last Order
M9 曖昧≠Libido
M10 もしも
M11 あなたのせい
M12 go for the “TOP”
M13 Addiction
M14 しましょ
M15 サマラブイリュージョン2024
M16 Now or Never
M17 Noisy
M18 Shout of Joy(新曲)
M19 Life is Beautiful